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青森地方裁判所弘前支部 昭和37年(ワ)240号 判決 1965年4月14日

原告 国

被告 成田善蔵

主文

被告は原告に対し、金六万七、八八九円及び

(イ)  内金六万〇一二四円に対する昭和三三年一一月七日以降、

(ロ)  内金三、五六六円に対する同月二六日以降、

(ハ)  内金二、六二六円に対する同年一二月一八日以降、

(ニ)  内金一、五七三円に対する同月二八日以降、

各完済までの年五分の割合による金員を支払え。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを一〇分し、その一を被告の、その余を原告の各負担とする。

この判決は原告勝訴部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一、原告の主張

原告訴訟代理人は、

「被告は原告に対し、金六五万五、一八四円及び

(イ)  内金六万〇一二四円に対する昭和三三年一一月七日以降、

(ロ)  内金三、五六六円に対する同月二六日以降、

(ハ)  内金二、六二六円に対する同年一二月一八日以降、

(ニ)  内金一、五七三円に対する同月二八日以降、

(ホ)  内金五八万七、二九五円に対する昭和三四年九月二六日以降、

各完済までの年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。」

との判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、

一、被告は弘前市において「一五番タクシー」の名称でタクシー業を営み、訴外中田松男(旧姓金枝)は運転手として被告に雇われていたものである。

二、右中田は、昭和三三年六月一六日午後一〇時四五分ごろ被告の業務に関しタクシー(青五あ〇五二一号)に訴外株式会社弘前相互銀行行員の訴外内山一を乗車させて運転中、弘前市大字和徳字松ケ枝の路上で対進して来た小型四輪乗用車と衝突し、これにより右内山は治療約六箇月を要する顔面挫創及び左眼外傷(失明)の傷害を受けた。

三、右中田の運転していたタクシーは被告が自己のために運行の用に供していたものであるから、被告は自動車損害賠償保障法第三条に基づき右内山に対し損害賠償責任を負うに至つたものであるところ、右内山に生じた損害額は次のとおりである。

(一) 財産的損害

(1)  労働能力の喪失による損害五七四万九、六六三円内山一は前記受傷によりその労働能力の一部を喪失し、銀行員としての業務の執行に重大な支障を来たすに至つた。すなわち右負傷によつて生じた同人の肉体的障害は労働基準法施行規則別表第二身体障害等級表及び昭和二九年一月二六日付基発三七号通牒の第八級の障害に該当するところ、この程度の障害に対して労働者災害補償保険法が定めている障害補償費の給付額は平均賃金の四五〇日分であり、これを同法の定めている労働者の死亡の場合の補償費(平均賃金一、〇〇〇日分)と対比すれば、右程度の身体障害による労働能力の喪失の割合は四五パーセントであるというべきである。従つて内山に労働能力の損傷がなかつた場合同人が得たと見込まれる将来の収益額からホフマン式計算法により民法所定年五分の割合の中間利息を控除して得られる金額の四五パーセントが同人の労働能力の損傷によつて生じた損害額と解せられるところ、同人の事故発生後将来にわたる各年における右収入見込額は別紙<省略>(一)総収入計算書(A)欄記載のとおり、またこれに対する所得税額は同計算書(B)欄記載のとおりであり、右収入見込額から所得税額を控除した各年の純収益につき前記の方法により中間利息を控除して得られる金額の合計は別紙(二)ホフマン式計算書記載のとおり一、二七七万七、〇三〇円であるから、その四五パーセントすなわち五七四万九、六六三円が受傷当時に引き直した損害額である。

なお内山一が事故後現実に給与上の差別待遇を受けていないとしても、同人の労働能力の一部が失なわれた以上、本来同人の給与は減額されるべきで、減額されないのは雇主側の特別な犠牲によるか被傭者の特別な努力が期待されているかいずれかの事情によるものであるところ、労働能力はそれ自体将来の収益をもたらす源泉として一つの財産的な価値であるからその損傷自体が現実の財産的損害であると解すべく、たまたま右のような特段の事情が介在することによつて損害の発生の有無が左右されるものではない。また右特段の事情は今後も存続することを必ずしも期待し難く、将来においては給与上の差別待遇や転職の際の不利などを生ずる蓋然性は高いことからしても、右労働能力の喪失による損害はすでに現実に生じているものと解すべきである。

(2)  治療に要した費用一六万七、八八九円

内山一が前記負傷の治療に要した費用は左記(イ)、(ロ)の合計金一六万七、八八九円である。(ただしそのうち金一〇万円は自動車損害賠償責任保険に基づく給付を受けたので残額は六万七、八八九円となつた。)

(イ)  成田眼科医院分 三万四、〇三〇円

(ロ)  鳴海病院分 一三万三、八五九円

(3)  休業による給与上の損失四、四〇〇円

内山は前記負傷のため昭和三三年六月一七日以降同年九月七日まで八三日間休業することを余儀なくされ、その結果、同年九月支給の賞与において一、五〇〇円、同年一二月支給の賞与において二、九〇〇円をそれぞれ減額され右減額分合計四、四〇〇円の損害を受けた。

以上(1) ないし(3) の合計額五九二万一、九五二円が同人のこうむつた財産上の損害である。

(二) 精神的苦痛による損害

内山一は前記事故の結果左眼を失明し、このため日常生活上の不自由を忍びまた勤務上将来にわたり無形の不利益をこうむることを余儀なくされた。これによつて同人が受けた精神的苦痛に対する慰謝料の額は金五〇万円を以て相当とする。

四、前記弘前相互銀行は昭和二七年七月二二日原告に対し労働者災害補償保険の加入を申込み、同年八月一日原告はこれを承諾したものであるところ、内山一は右銀行の人事課長としての報告業務を遂行中に前記事故にあつたものであるから、原告は右内山に対し、そのこうむつた損害のうち前記自動車損害賠償責任保険による給付額一〇万円をこえる部分につき、労働者災害補償保険法の定めるところにより、

(一)  療養補償費として

昭和三三年一一月六日 金六万〇一二四円

同月二五日 金三、五六六円

同年一二月一七日 金二、六二六円

同月二七日 金一、五七三円

(右合計六万七、八八九円)

(二)  障害補償費(労働能力の喪失と精神的苦痛に対する補償)として

昭和三四年九月二五日 金五八万七、二九五円

以上総計六五万五、一八四円を支払つた

ところで内山一が前記自動車事故によつて受けた損害が前記自動車損害賠償責任保険による給付額と右原告の支払額との合計七五万五、一八四円をこえることは上述したとおりであるから、原告は労働者災害補償保険法第二〇条第一項の規定により前記保険給付の価額六五万五、一八四円の限度で内山一が被告に対して有する損害賠償請求権を取得した。

五、よつて原告は被告に対し右給付額合計六五万五、一八四円及び各回の給付額に対する給付をした翌日以降完済までの民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるため本訴に及んだ、

と陳述し、被告の抗弁に対する再抗弁として、

原告は昭和三四年一二月一七日被告に対し、原告の取得した右請求権につき納入の告知をしたから、これによつて右請求権の消滅時効は中断された。なお右納入告知があつたことに関する被告の自白の撤回には異議がある、

と述べた。

第二、被告の主張

被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。」との判決を求め、答弁として、

原告主張の請求原因事実中、

(イ)  第一項は認める。

(ロ)  第二項中、内山一が原告主張の日時に被告の保有するタクシーに乗車中に負傷したことは認め、その余は知らない。

(ハ)  第三項中、治療費の点は知らず、その余の点は否認する。内山一は原告主張の事故の後も通常の状態で勤務し、正常の給料の支給を受け、通常の昇給を経ているから、同人には右事故による収入上の損失は生じていない。

(ニ)  第四項中、内山一が弘前相互銀行職員として業務遂行中に負傷したことは否認し、原告がその主張のような損害賠償請求権を取得したことは争う。その余の点は知らない。

右内山は弘前駅から帰宅するためタクシーに乗つて途中右事故にあつたものであり、このことは事故の時刻には右銀行が閉店中であつたことからしても明らかである。また、労働者災害補償保険法第二〇条第一項にいう求償の相手方となる「第三者」とは加害者を指すから、被告はこれに該当しない、

と述べ、抗弁として、

原告が取得したと主張する損害賠償請求権につき、原告の前主である内山一は本件事故が発生した昭和三三年六月一六日に損害及び加害者を知つたから、その後三年の経過により右請求権は時効によつて消滅した、

と陳述し、原告の再抗弁に対する答弁として、はじめ原告主張の納入の告知があつたことを認めたが、その後右自白は真実に反し錯誤に基づく陳述であるから撤回し、右事実を否認する、と述べた。

第三、証拠<省略>

理由

一、請求原因第一項の事実及び訴外内山一が昭和三三年六月一六日午後一〇時四五分ごろ被告の保有するタクシーに乗車中に負傷したことについては当事者間に争いがない。

いずれも成立に争いのない甲第一号証の二、同第七、八号証及び証人内山一の証言を綜合すると、右内山は被告の業務のため訴外中田松男が運転中の右タクシー(青五あ〇五二一号)に乗車中、原告主張のような衝突事故により治療約六箇月を要する顔面挫創及び左眼外傷(辛うじて明暗を弁ずる程度に視力減退)を負つたことが認められ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。

右認定事実によれば、右タクシーは被告のために運行の用に供せられていたものというべきであるから、被告は右負傷によつて内山一に生じた損害を賠償すべき義務を負うに至つたと解せられる。

二、そこで、内山一に生じた損害の額について以下検討を加える。

(一)  労働能力の喪失による損害について

原告は本件事故による負傷の結果、内山一はその労働能力の四五パーセントを失なつたと主張するところ、右負傷により同人の左眼は前述のとおり著るしく視力が減退し、右は労働基準法施行規則別表第二身体者障害等級表の第八級の障害に該当するものというべく、また右等級の障害に対する労働者災害補償保険法(以下労災法と称する)所定の障害補償費額が平均賃金の四五〇日分であること、労働者の死亡の場合の同法所定の遺族補償費額が平均賃金の一、〇〇〇日分であることは原告主張のとおりである。

しかしながら右の事実から直ちに内山一の労働による収益能力の喪失の割合が四五パーセントであると断じることはできない。けだし人が従事し得る労働はきわめて多種多様であるから、ある身体障害が特定の職業に従事する特定の人の労働能力をどの程度減退させるかを前記補償基準のような職種の違いを考慮しない一般的基準を根拠として判定するのはきわめて不合理であり、右基準は、基本的には障害の程度に応じた労働能力の喪失に対する補償を考慮しながらも、被災労働者もしくはその家族に対し迅速な保護を与える労働災害補償制度独自の目的に即して定められたものと解せられるからである。

また、証人内山一、同平野富蔵、同鈴木孝一の各証言によれば、内山一は訴外株式会社弘前相互銀行の行員であつて本件事故後も引続き同銀行に勤務しているところ、前記身体障害のため勤務上相当の不便を感じており、また将来の昇進にも或る程度の不安を抱かざるを得ない立場にあることが認められる。しかしながら、他方、右内山及び平野の各証言によれば同人の事故後の昇給、昇任はほぼ順調で身体障害のために特に不利益を受けていないことが認められることを併せ考えれば、上記の不便や不安は同人の被告に対する慰謝料請求の根拠となることは格別、直ちに同人の労働による取益能力の減退を窺わせるに足りる事実とは言い難く、その他本件全証拠によつても右能力の減退を認めることができない。

なお原告は、労働能力の喪失自体が財産的損害であると主張するところ、右にいう労働能力を前記のような銀行員としての具体的な収益獲得能力としてではなく、より観念的、抽象的な、労働に従事し得る総合的能力そのものとして理解するならば、内山一にそのような意味での労働能力の低下が生じたことは認めるに難くない。しかしながら労働能力は将来にわたつて労働によつて収益を挙げ得る能力としての面でのみ財産的な意味を有し、その喪失はそのような収益獲得を不能にする限りにおいて財産的損害を生ずるのであるから、かかる得べかりし利益の喪失という観点とは別個に右のような観念的な労働能力の喪失による財産的損害を考えることはできない。

(二)  治療に要した費用について

いずれも成立に争いのない甲第一号証の一、二、同第二ないし第五号証によれば、内山一が前記負傷に要した費用は鳴海病院における治療につき金一三万三、八五九円、成田眼科医院における治療につき金三万四、〇三〇円合計一六万七、八八九円であることが認められ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。

(三)  休業による給与上の損失について

甲第八号証及び証人斎藤博の第一回証言によつて真正に成立したものと認められる甲第一七号証並びに右斎藤及び証人内山一の各証言によれば、内山一は本件事故当時前記弘前相互銀行の人事課長であつたところ、右事故により負傷し、昭和三三年六月一七日から同年九月七日まで欠勤を余儀なくされた結果、同年一〇月六日支給の賞与において金一、五〇〇円、同年一二月五日支給の賞与において金二、九〇〇円の減額を受けたことが認められ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。

(四)  精神的苦痛による損害について

甲第八号証、成立に争いのない同第一二号証及び証人内山一、同平野富蔵、同鈴木孝一の各証言を綜合すると、内山一は大学を卒業した後昭和二六年六月から前記相互銀行に勤務するようになつたもので、本件事故当時は三六歳であり、妻、子二人、実母、妹二人を主として自らの収入で養なつていたこと、同人は本件事故の後も引き続き右銀行に勤務しているが、右事故による前述の身体障害のため勤務上相当の不便を忍んでおり、ひいてはまた将来の昇進にも或る程度の不安を抱かざるを得ない立場にあることがそれぞれ認められ、この認定を動かすに足りる証拠はない。これらの事実と、右身体障害の部位、程度、同人の銀行における地位及び身体障害の結果当然生じる日常生活上の不便、苦痛とを併せ考えると、本件事故に基づく右身体障害によつて同人が受けた精神的苦痛に対する慰謝料は金五〇万円を以て相当とする。

三、いずれも成立に争いのない甲第一八、一九号証の各一、二によれば、前記弘前相互銀行は昭和二七年七月二二日ごろ青森労働基準局長に対して労働者災害補償保険への加入を申込み、同局長は同年八月一二日ごろこれを承諾したことが認められ、この認定を動かすに足りる証拠はない。

また、甲第八号証、証人斎藤博の第二回証言によつていずれも真正に成立したものと認められる甲第二〇ないし二二号証の各一、二及び証人内山一、同鈴木孝一の各証言を綜合すると、内山一は弘前相互銀行の人事課長としての用務のため青森市の同銀行堤橋支店に出張し、同銀行本部でその帰りを待つていた鈴木総務部次長に報告をするため本店に向かう途中で本件事故にあつたことが認められ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。

次に、甲第一号証の一、二、同第二ないし第五号証及び成立に争いのない同第六号証によれば、原告は労働者災害補償保険に基づく給付として右内山に対し、原告主張のとおり療養補償費として合計六万七、八八九円、障害補償費として五八万七、二九五円をそれぞれ支払つたことが認められ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。

四、ところで、被告は労災法第二〇条第一項に基づき保険給付をした政府が取得する求償権の相手方となる「第三者」は加害者に限られる旨主張するが、右規定は保険給付と損害賠償とが同一の損害の填補を目的とすることにかんがみ、損害保険に関する商法第六六二条の規定と同様、保険者、保険給付の受給者、損害賠償義務者間の公平を図る趣旨の規定と解すべきであるから、右求償の相手方たる「第三者」は直接その行為によつて事故を発生させた者に限られず、ひろくその事故につき私法上損害賠償責任を負う者(ただし労災保険加入者である事業主を除く)を指すというべきで、被告の右主張は採用できない。

従つて原告は右労災法の規定に基づき前記保険給付の価額の限度で内山一が被告に対して有する損害賠償請求権を取得したというべきであるが、右規定中には前記求償権取得の成立すべき範囲を同条第二項におけるように「同一の事由」についての災害補償と損害賠償との間に限定することを示す文言は見られないけれども、上述のような右規定の趣旨からすれば、原告が取得したのは同法第一二条所定の各種の保険給付の対象となつた損害と同質同一で私法上の損害賠償を認めることによつて労働者が二重の填補を受ける関係にある損害についての賠償請求権に限られると解すべきである。

ところで内山一は前認定のとおり休業による給与上の損失を受けているが、原告が同人に対して支給したと主張するのは療養補償費と障害補償費のみで休業補償費を含まないから、右休業による損害を対象とする保険給付はなされておらず、従つて原告は右損害に関する賠償請求権を取得しないというべきである。

また、内山一は前認定のような慰謝料請求権を有するところ、原告は、前記障害補償費は右内山の精神上の苦痛に対する補償としての性質を有すると主張する。しかしながら、労災法による保険給付はもつぱら災害によつて労働者に生じた物質的な損害を填補し、以て労働者又はその遺族の生計の維持や労働能力の速やかな回復を図るのを目的とするものと解すべきであるから、右精神上の苦痛に対する補償としての保険給付があつたということはできず、従つて原告が右慰謝料請求権を取得したと解することはできない。

以上の結果、前認定の内山の被告に対する損害賠償請求権中治療費用の請求権のみが、これに対して給付された療養補償費金六万七、八八九円の限度で原告に取得されたこととなる。

五、次に被告の消滅時効の主張について考えるに、内山一が昭和三三年六月一六日に本件自動車事故による損害及び加害者を知つたとの被告主張事実は原告において明らかに争わないので民事訴訟法第一四〇条の規定によりこれを自白したものとみなす。

従つて内山の被告に対する損害賠償請求権は右日時から三年間を経過することにより消滅するはずであつたが、原告は前述のように保険給付によつて右賠償請求権の一部を取得した後の昭和三四年一二月一七日に被告に対し右請求権につき納入の告知をした旨主張するところ、右主張事実につき被告はいつたんした自白を撤回し、原告は右自白の撤回に異議を述べたので右撒回が有効か否かについて判断を加える。

被告は右自白が真実に反し錯誤に基づく陳述である旨主張し、被告本人尋問の結果中には右主張に副う供述が存するけれども、これによつてはなお右主張事実を認めるに十分ではなく、その他本件全証拠によつても右主張事実を認めることはできない。よつて右自白の撤回は無効である。

従つて上記消滅時効は会計法第三二条の規定により前記納入告知によつて中断されたものである。

六、以上認定したところによれば、原告の本訴請求は、被告に対し本件療養補償費額合計金六万七、八八九円及び前認定の各回に給付された療養補償費額に対するそれぞれの給付の翌日以降完済までの民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度では正当であるがその余は失当としてこれを棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九二条、仮執行の宣言につき同法第一九六条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 加茂紀久男)

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